自分の情動を上手にコントロールする能力など、テストの点数では表せない幅広い力をさす「非認知能力」。
幼少期に非認知能力を身につけておくことが、大人になってからの他者との関わりや幸福感、経済的な安定につながると考えられ、世界中で注目を集めています。
子どもの非認知能力を育むために欠かせないものが、親の接し方や、褒め方・叱り方です。
将来、自分で考え、自分で動き、未来を切り開ける子に育てるための、わが子への接し方や褒め方・叱り方について紹介します。

子どもを「一人の人間」として尊重する
日々成長過程にある子どもはみな、生まれながらに「挑戦する力」「思いやる力」「がまんする力」などさまざまな力を備えています。
このような力をすこやかに育てるために大切なのが、「接し方」や「褒め方・叱り方」です。
まず、子どもへの接し方について考えてみましょう。
モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育者の島村華子氏は、著書『自分でできる子に育つ 褒め方叱り方』において、子育てには2種類の接し方があると述べています。
ひとつは、「条件つき子育て」です。
子どもの行動の善し悪しにより、ご褒美や罰を使いながら愛情の注ぎ加減を調整し、行動をコントロールしようとするものです。
もうひとつは、「無条件子育て」です。
行動の善し悪しにかかわらず愛情を注ぎ、子どもの気持ちに寄り添う子育てです。
「条件つき子育てと無条件子育ての違いは、『子どもを一人の人間として尊重して見ているか、そうでないか』にあります。
条件つき子育ては、短期的には親のいうことを良く聞くようになりますが、子どもは『親が望むようにふるまわなければ愛してもらえない』といった恐怖心やプレッシャーを抱くことがあります。
子どもと正面から向き合い、何か問題がおきたらご褒美や罰でコントロールするのではなく、いっしょに解決するよう接していく無条件子育てを行うことで、自己肯定感を高め、自分でできる力を身につけていくことができます」。(島村華子氏)
幼少期から、わが子を認め、ていねいに温かく関わることで、子どもは「自分は愛されている、大事にされている」と肌で感じ、「生きるって面白い!」「生まれてきて良かった!」と、心に栄養を蓄えていきます。
それが、非認知能力の根っことなっていくのです。