非認知能力を高める5つの力 ④自己管理力

先生
先生
非認知能力を高める5つの力のうち、今回解説するのは、4つ目の「自己管理力」です。
お母さん
お母さん
自己管理力というと、自制心や我慢する心ということですよね。飽きっぽい、集中しない、粘り強くない・・。こんなうちの子に、自制心が育つのか、不安です。
先生
先生
お子さんの自制心を育てるには、柔軟な心をもっている今がチャンスです。物欲などはだんだん大きくなりやすく、子どもの欲求に応えてなんでも買い与えていると、自制心を養うことはできません。
お母さん
お母さん
そうですよね・・。でも、どうやって身につけさせたらいいのでしょうか。
先生
先生
発達過程のなかで、自己主張と自己抑制の力が、バランスよく培われていくことが望ましいのです。くわしくみていきましょう。

「自己管理力」は、文字どおり、「自分を管理する」能力。かみくだいていうと、「自分を律し、管理し、コントロールする能力」ということです。

自己管理力が身につくと、「明日は朝早く学校に行って委員会活動があるから、夜は早めに寝よう」など、自分で考え、行動することができるようになります。

一時的な感情に振り回されずにやり抜く力も、自己管理力に含まれます。

自己管理力が育っていないと、周りの人との関係性が円滑に築けないため、トラブルに直面しやすくなることがあります。

また、物事を最後までやりとげることができず、達成感を得ることができません。自信がもてずにあきらめることも多くなり、自己肯定感をもちにくくなります。

子どもの発達過程や個性に応じて、自己管理力を育んでいきましょう。

自己管理力は、「自分の気持ちをコントロールする力」、「やり抜く力」、「気持ちを抑え、ルールに従い、行動に移す力」の3つの軸からなります。

この、3つの軸について、くわしくお伝えします。

自分の気持ちをコントロールする力

自分の気持ちをコントロールする力とは、自分の感情や欲求を場や状況に応じて自己抑制し、我慢する力です。

私たちは、生涯を通してさまざまな人と関わりながら生活しています。その中で、いつも自分の思いが通るとは限りません。
自分の意見や考えを大切にしながらも、その場の状況に応じて感情や欲求に折り合いをつけていくことが大切です。

マシュマロ・テストって何?

マシュマロ・テストは、1960年代にアメリカ・スタンフォード大学の心理学者・ミシェル博士が作った、自制心を試す幼児向けの心理テストです。

4歳の子どもは、机とイスだけが置かれた部屋に通され、イスに座るように先生(大人)から言われます。机の上にはお皿があり、マシュマロが1個のっています。

先生は子どもに、「目の前のマシュマロを、15分間食べるのを我慢できたら、2個にしてあげる」といって立ち去り、その子が我慢できるのかどうかをみるという、シンプルなテストです。

このテストでは、「目の前の欲求を我慢することで、将来の大きな成果を得る」ことを考え、実行できるかが問われています。

3人のうち2人は、15分待てずに食べてしまいますが、我慢ができた3人のうちの一人は、その後の人生で成功をおさめやすいという検証結果が出ています。

お母さん
お母さん
こんなテストがあるんですね。うちの子はきっと、我慢できずに食べてしまうと思います・・
先生
先生
我慢強く、セルフコントロールができる子は、先のことを考える能力をもっているともいえます。
お母さん
お母さん
子どもって、なかなか我慢できないですよね。
先生
先生
「なぜ我慢をするのか」、その理由を自分で考えるようになるのは、普段から
ちょっとした我慢に慣れている子です。日ごろから、自制心を鍛える練習が必要です。

自分の気持ちをコントロールする力には、「感情をコントロールする力」「自己分析ができる力」が含まれます。

⚫️感情をコントロールする力
私たちは皆、怒り、おそれ、喜び、悲しみなど、毎日いろいろな感情を抱きながら暮らしています。

ちょっとのことでカッとなってしまい、イライラしてしまう子は、自分を信じる心や自分を大切にして肯定する自尊心が低いことが多いです。

何かの目標を達成しようとするためには、感情をコントロールする力を育むことが、必要不可欠です。

⚫️自己分析ができる力
自己分析力とは、「自分を探る」作業ができる力をさします。

「自分を探る」というと抽象的に感じるかもしれませんが、たとえば、なわとびで二重跳びができない子どもが、親など周りの大人からのアドバイスを聞いて、周りの友達の様子を見ながら、自分なりに「なぜできないのか」「どうすればできるようになるのか」について考えることができる力です。

やり抜く力

やり抜く力とは、目標に対して情熱をもってひたむきに取り組み、困難や挫折を味わってもあきらめずに努力し続ける粘り強さのことを意味します。

この力は、やり抜く力とも言われます。

「やり抜く力」についての研究の第一人者として知られる、アメリカ・ペンシルバニア大学心理学部のアンジェラ・ダックワース教授は、社会的に成功をおさめた人たちにインタビューし、研究した結果、「人が社会的成功をおさめるには、もともとの才能やIQよりも、『やり抜く力』が大切である」ということを科学的に解明し、世界中で話題になりました。

日々の生活の中で、成功体験は、やり抜く力を発揮させる自信ややる気につながります。

しかし一方で、失敗したり、挫折したりする体験も、タフな意欲の育成につながる大切な要素です。

やり抜く力には、「あきらめない力」「やり続ける力」が含まれます。

⚫️あきらめない力
「あきらめない力」は、目の前に困難な問題や課題がたちはだかったとしても、決して逃げようとせずに立ち向かい、なんとか成し遂げようとする力です。結果として成功に結びつかなかったとしても、粘り強い気持ちを持ち続けることができるかどうかが大切になってきます。

⚫️やり続ける力
何かをやり続ける力に必要なのは、何かを取り組むときに「続けるにはどうしたらよいか」と、まずは自分なりに考え、判断することです。やり続けるために、自分を客観視し「⚪⚪️をやり続けるために、毎日△△を××しよう」など、無理のない目標を設定できる「作戦力」も大切になってきます。

体力や器用さも、「やり抜く力」を支える大切な力

やり抜く力は、上記の「あきらめない力」「やり続ける力」が基本となりますが、これらに加え、体力や器用さも必要になってきます。

たとえば、スポーツの場面では、子どもに「あきらめない力」がいくら備わっていても、十分な基礎体力がないと、途中で思うように体が動かなくなることにより、やり抜くことが不可能になることもあります。

工作などの場面においても、ある程度の「器用さ」を備えていないと次の作業にとりかかれず、やり続けるパワーがしぼんでしまう可能性もあります。

体力や器用さも、やり抜く力を支える大切な力となるのです。

気持ちを抑え、ルールに従い、行動に移す力

気持ちを抑え、ルールに従い、行動に移す力とは、自分で自分の行動を規制すること、自分が立てた規範(ルール)に従って行動することです。

発達段階において、幼児期は、この力を育てるのに適した時期であると考えられています。

気持ちを抑え、ルールに従い、行動に移す力には、「自分で決めたことを自分でやる力」「自分の気持ちを抑え、規範に従い行動に移す力」が含まれます。

⚫️自分で決めたことを自分でやる力
自分で決めたことを自分でやる力は、自分の行動に責任をもつことにもつながります。
人間としての根源的な基盤の確立に欠かせない、大切な力です。

⚫️自分の気持ちを抑え、規範に従い行動に移す力
自分の気持ちを抑え、規範に従い行動に移す力は、幼児期に親や周りの大人と関わりながら、興味をもった遊びに熱中するなどの体験を重ねることで、自然と身につく力であると考えられています。

まとめ
  • 自己管理力は、「自分の気持ちをコントロールする力」、「やり抜く力」、「気持ちを抑え、ルールに従い、行動に移す力」からなる。
  • 幼児期は、自己管理力を身につけるのに適した時期であるといえる。
  • 自己管理力を養うには、成功体験だけでなく失敗や挫折も味わいそれを乗り越える体験が必要である。

(参考文献)
保育の心理学(編著:井戸ゆかり、出版:PHP研究所)
非認知能力の育て方(著者:ボーク重子 出版:小学館)
やり抜く力(著者:アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳 出版:ダイヤモンド社)
0〜5歳児の非認知的能力(著者:佐々木 晃 出版:チャイルド本社)